佐渡島・扇岩2010年08月22日 20:20

 国定公園シリーズ(59種)第1号として昭和33年に発行された佐渡弥彦国定公園の記念切手。描かれているのは外海府の「扇岩」です。当時の絵葉書などにも佐渡のシンボルとして扇岩が多く印刷されています。
 ところが当時、大野亀と二ッ亀との間にあるこの秘境地に通じる道路はなく、小型定期船(松前丸)で渡り、海岸沿いに歩るいて行かなければなりませんでした。すぐ近くにある霊場「賽の河原」巡拝者や、僅かな観光客や写真愛好家等が訪れる程度であったようです。
 昭和45年に佐渡最北端までの道路が開通し大佐渡を半周する海岸道路が一本につながり、誰もがこの秘境を観光で訪れる事が出来るようになりました。しかし…「扇岩」の勇姿はすでにそこには無かったのです。
 なんと昭和40年の高波により扇岩が崩壊(両津市史・町村編)してまったのです。昭和39年の新潟地震で生じた亀裂と翌年の高波が崩壊原因とされています。
 崩れた「扇岩」の復元を試みることにしました。とは言っても適当に作画する訳にはいきません。まずは資料の調達。破損した扇岩の岩肌を忠実に再現するには鮮明な写真が必要です。絵葉書や観光パンフなどを入手すれば、データ作成が出来ると思い数多く収集したのですが、当時の印刷物は極めて粗いものでディテールの再現ができない状態でした。困り果てていたところに吉報!当時新聞記者で現地を訪れた清水氏から希少な「扇岩」の実写フィルム(昭和38年撮影・モノクロネガ)をお借りすることができたのです。今回の復元作業も清水氏のご厚意により実現することが出来ました。

■さて以下はワイドスチール作成の作業の手順です。
A 現在の扇岩。水面部分には崩壊した扇部分の岩石が崩れ残っている。
B 現地で清水氏のカメラ視点から撮影(解像度UPの為24枚分割撮影後ステッチ処理)
C 清水氏が現地撮影した貴重な扇岩のモノクロ写真より破損した扇部分をコピー。
D モノクロの岩肌画像を彩色処理
E 破損部分を岩肌の詳細まで忠実に復元(海水面の倒壊岩石を消去)

※ピンクの空部分は後処理のため透明レイヤー状態。
 後日お気に入りの雲を撮影しはめ込む予定です。

 (10月29日:.扇岩復元写真が完成したのでこちらをご覧下さい)



もちろん…
CubicVRも別撮りしたのでUPします。空は撮影時オリジナルのままです。
マウス操作で360°「扇岩」のあった風景を45年ぶりに体験してください。

この記事の360°パノラマVR画像→佐渡・扇岩の復元VR
Japanos FullscreenVR Gallery→VRパノラマギャラリー

コメント

_ 山道正男 ― 2010年08月23日 19:21

やってますね、金子さんの創作の着眼点の見事なこと、いつもあっと驚いています。
今年の猛暑に参っています。仕事で事務所にいるときの方が過ごしやすかったです。が後の祭り、自由と引き換えに猛烈な暑さの駄賃です。

_ kaneko ― 2010年08月23日 19:30

山道さんへ
久々のVRです(笑)。それにしても暑い日が続きますね、水分補給をお忘れなく。

_ keiji ― 2010年08月24日 21:28

時間を越えたkanekoまじっくですネ、お見事!

_ kaneko ― 2010年08月25日 09:13

keijiさん、こんにちは。
リパブリック展、無事終了したようで。
古びた机にVR用ディスプレイ‥いいですねぇ。

_ ― 2010年08月25日 23:41

初めまして。

扇岩のパノラマ画像…感動しました。
私が生まれるずっと前に姿を消してしまったこの風景に出会いたくて、
願の海岸線を歩くたびに、在りし日の姿に思いを馳せていたものです。

素晴らしい佐渡の原風景の再現。
ありがとうございます!

_ kaneko ― 2010年08月26日 03:40

華 さま
ブログはちょいちょい拝見しております。
この地に思い入れがあるとの事でお知らせしました。
私にとって「扇岩」はぜひバーチャルで再現したかったものの一つです。
今回は(ネガの入手で)ほぼ忠実に再現できたと思っています。

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