高峰秀子さんの本2012年10月26日 17:43

 若い頃から文庫本など読む習慣はなかった。特に50代から眼鏡をかけて小さな活字をなぞるのは苦痛であった。その私がいま高峰秀子の著書「わたしの渡世日記(上・下)」を読んでいる。5歳(1929年)の子役から~55歳(1979年)までの女優人生を語る彼女の湿り気ない文章は心地よくじつに面白い。
 この本を読むきっかけとなったのは先にデジタルリマスター版で観た映画「カルメン故郷に帰る(1951)」のリリィ・カルメン役とその3年後に制作された「二十四の瞳(1954)」の大石先生。ストリッパー役と新任教師を演じ分ける女優・高峰秀子がとても魅力的だった。
 ここ数年の記憶にもとどまらない新作洋画ばかり見てきた私には、木下恵介の映画がとてもきめ細やかで優しく、こころ癒されたのかも知れない。